記者団に北朝鮮のミサイル発射について説明する岸田文雄外相兼防衛相=29日午前2時57分、防衛省、相原亮撮影
日本政府は29日未明、安倍晋三首相らが首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を緊急開催し、情報分析などにあたった。稲田朋美氏の防衛相辞任を受け、岸田文雄外相に防衛相を兼務させる人事を行った直後の発射。安倍政権は北朝鮮の軍事的挑発に対し、異例の体制で対応に追われることになった。
首相はNSC後、記者団に「先般のICBM級ミサイル発射に続き、我が国の安全に対する脅威が重大かつ現実のものとなったことを明確に示すものだ」と述べ、北朝鮮を強く非難した。
日本政府は29日未明、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議したほか、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長が米韓両国の6者協議首席代表とそれぞれ電話で協議し、北朝鮮に最大限の圧力をかけていく必要があるとの認識で一致した。同日午前には岸田外相兼防衛相が外務省でティラーソン米国務長官、韓国の康京和(カンギョンファ)外相と相次いで電話で協議した。防衛省によると、航空機や船舶への被害は確認されていない。
ミサイル発射時は国会近くの議員宿舎に帰宅していた岸田氏は29日午前0時40分ごろ、官邸入り。NSCに兼務大臣として初めて出席した。その後は防衛省に向かい、同省で記者団に「防衛相として、引き続き情報収集、警戒監視に万全を期せ、と指示を出した」と述べた。
防衛省で状況説明などを受けた後、約5キロ離れた外務省に岸田氏が着いたのは同日午前3時半ごろ。NSC終了から約2時間半後だった。同省で記者団から「兼務によって外交面がおろそかになっていないか」と問われると、岸田氏は「私自身は両省を移動しているが、その間も両省幹部は、緊密に連携している。少なくとも今回の事案で情報収集や警戒態勢に支障があったという認識は持っていない」と反論した。
菅義偉官房長官も同日未明の会見で「(初動対応に)まったく支障は出ていない」と強調。NSCには防衛省から若宮健嗣副大臣が出席したとも説明し、岸田氏の兼務初日のミサイル発射でも問題なく対応できたとの認識を示した。