トランプ政権内の亀裂
米大統領の最側近であるはずの首席補佐官が就任から半年で事実上更迭されたことは、トランプ政権内の亀裂の深刻さを浮き彫りにした。共和党執行部との「パイプ役」を失った政権が、議会との関係でさらに混迷を深めるのは避けられない。トランプ氏とのあつれきは、閣僚の間にも広がりつつある。
米首席補佐官が辞任 事実上の更迭か、報道官に続き異例
「ジョン・ケリー(国土安全保障)長官を首席補佐官に指名したことを喜んで伝える」。プリーバス氏の辞任が明かされたのは28日夕、トランプ氏がニューヨークから大統領専用機でワシントンに戻った際につぶやいたツイートだった。
ツイッターで政権の重要人事を公表すること自体、異例のやり方だ。ケリー氏の起用を先に発表した上で、プリーバス氏について「我々は多くのことを成し遂げた。彼を誇りに思う」と付け加えた。
辞任はプリーバス氏から申し出たとしているが、トランプ氏の意向が強く働いたのは間違いない。トランプ氏は、自らの「ロシア疑惑」に関するホワイトハウス内の情報漏洩(ろうえい)が多いことに立腹し、統括者であるプリーバス氏の交代説は以前からささやかれていた。
辞任劇の決定打となったのが、トランプ氏が新たな広報部長に、知人で投資会社創業者のスカラムッチ氏を起用したことだ。広報や政治の経験がない同氏の登用にプリーバス氏が強く反対。だが、大統領が強行し、21日にはスパイサー大統領報道官もこれに反対して辞任していた。
首席補佐官は閣僚級のポストで、日本では官房長官にあたる「政権の要」。そんな大統領の最側近が半年で辞めるのは、政権内の亀裂の深さを物語る。プリーバス氏の後任のケリー氏は、海兵隊大将を務めた元軍人で、政権を取り仕切る政治手腕は未知数だ。
いまホワイトハウスは、トラン…