政府が3年ぶりに見直すエネルギー基本計画をめぐり、焦点となっている原発の新設や建て替えについて明記を見送る方向になった。安倍政権下で2014年に決めたいまの計画は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づける一方、新増設については触れておらず、原発関連業界などから見直しで盛り込むよう求める声が出ていた。
経済産業省は、原発に対する世論の反発が根強いことなどから、新増設の表現を盛り込むことは時期尚早との判断に傾いている。当面は既存原発の再稼働や運転期間の延長に注力する。
世耕弘成経産相は1日の閣議後会見で、エネルギー基本計画の見直しを議論する審議会を9日に開くと発表した。年度内にとりまとめるとしたうえで「骨格を変えるような状況の変化は起こっていない」と話し、計画の主要部分は変えない方針を示した。
政府は2015年、電源に占める原発の割合を30年度時点で20~22%になるよう政策を講じると決めたが、世耕氏は「(既存原発の)再稼働をすれば、新増設を想定しなくても達成可能だ」と強調した。
経産省はまた、50年を見据えたエネルギー政策を話し合う有識者会議の初会合を今月末に開く。地球温暖化対策などの観点から中長期的な原発の必要性についても議論するという。原発推進派にも配慮したとみられ、会議で出た意見をエネルギー基本計画に反映させる可能性がある。(斎藤徳彦、笹井継夫)