九回表阪神1死満塁、ロジャースは左前に2点適時打を放つ=上田幸一撮影
(2日、阪神4―3広島)
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阪神は、敗れれば自力優勝の可能性が消えてしまう大事な一戦。追い込まれた状況で、打線が広島の抑え・今村に食らいついた。
九回、内野安打と2四球で1死満塁を作った。打席には先月、まさに「チャンスで打つこと」を期待されて入団したロジャース。外の変化球を見切った後の内角速球だった。コンパクトに振り抜いた打球が、左前で弾んだ。2者を生還させる逆転打。「それまでの打席は、結果が悪くて悔しかった。取り返したかった」とうなずいた。
適応能力が高い米国人だ。先月18日の初出場から13試合で、1度も出塁できなかったのは1試合のみ。ボール球を振ることが少なく、すでに8四球を選んでいる。金本監督も「選球眼がいい。同じボール球が続いたら、2度目は手を出さない」と評価している。
この夜は、広島から核兵器の廃絶と平和を祈る「ピースナイター」。ロジャースも、被爆地としての広島を知っている。五回終了後、観客が緑色の新聞と赤色のポスターを掲げ、球場の大半を緑色に染め、赤色でラインを作る様子を三塁ベンチから見つめた。日本を理解し、野球でも文化でも溶け込もうとしている。
チームは、開幕戦以来となるマツダスタジアムでの勝ち星をつかんだ。監督が「この球場には『流れ』がある」と語る敵地で、今後も落とせない戦いが続く。ただ、その「流れ」を阪神に呼び込みそうな存在なのが、先月23日から4番に座るロジャースである。(井上翔太)
○金本監督(神) 逆転打のロジャースについて、「ボール球に手を出さない。他の打者も見習ってほしいですね」。
○小野(神) プロ10度目の先発は六回途中2失点。「(一回に)本塁打を打たれた時点で、切り替えられた」