土屋鞄(かばん)製造所の店舗では、両親や祖父母らが子どもと一緒に選ぶ姿がみられた=東京都足立区
気に入ったランドセルを手に入れるための「ラン活」が、年々激化している。一部のブランドの人気ぶりやランドセルの多様化が、保護者の「争奪戦」を過熱させているようだ。専門家は「買えないことはないので、落ち着いて」と呼びかけている。
東京都足立区の老舗ランドセルメーカー「土屋鞄(かばん)製造所」。6月下旬、店内は平日にもかかわらず、ひっきりなしにお客さんが出入りしていた。「これも背負ってごらん」「こっちはどう?」。子どもと鏡をのぞき込んだり、携帯で写真を撮ったり。
週末には整理券を配布する日もあった人気だ。混雑を避けるため休暇を取って来店したという埼玉県越谷市の川瀬幹彦さん(43)は、「今日が3回目。注文前の、最終確認です」。
「ラン活」は今年も過熱傾向だ。船井総研によると、ランドセルの購入時期のピークは2011年は11、12月だった。ところが年々早まり、14年にお盆の頃に。その後もじわじわと早まり、昨年はとうとう7月にピークがきた。
船井総研上席コンサルタントで、ランドセル業界をウォッチしている岩崎剛幸さんが要因の一つとして挙げるのが、ランドセルの多様化。かつては赤と黒のシンプルな形が主流だったが、現在はメーカー各社が色だけでなく、内側のデザインや刺繡(ししゅう)、縫い目など細部に趣向を凝らす。例えば「ハシモト」(富山市)が展開する「フィットちゃんランドセル」は「137種類から選べます」がキャッチコピーだ。
価格も上昇傾向にあり、ランドセル工業会によると、1982年に1万8千円だった平均価格は、2014年に4万円を超えた。
「ピンポイントで『これが欲しい』という人が増え、買い逃さないために必死になっている」と岩崎さんはみる。
土屋鞄も、これまではお盆や秋…