ロンドン西部の高層公営住宅で起きた大規模火災をうけ、ロンドン北部のカムデン区は23日、区内の高層公営住宅の外装材を取り除くため、住民を一時避難させることを決めた。可燃性の高い外装材が火災を拡大させたとみられているためだ。
ロンドン火災、死者・行方不明者79人に 現地警察発表
避難はすでに始まっており、英BBCは800世帯以上が対象になると報じた。区は一部住民から公営住宅の安全性について懸念が示されたとし、区内に5棟ある高層公営住宅の外装材を外すことにしたという。そのため、住民には2~4週間にわたり親類宅などに避難してもらうとした。
一方、英PA通信は24日、英政府関係者の話として、これまでに全国の27棟の高層建築物で、外装材のサンプルを検査したところ安全性に問題があることがわかったと伝えた。英政府は、国内600の高層建築物で燃えやすい外装材を使っていないかの調査を始めている。
ロンドン警視庁は火災が起きたケンジントン・アンド・チェルシー区の高層住宅の外装材が安全性を欠いていたとの見解を示している。今回の火災の死者・行方不明者は79人にのぼっている。
同庁は23日、火災は高層住宅内の冷蔵庫が火元だったとの見方を示し、原因が放火やテロではないことを明確にした。火元となった米メーカーの冷蔵庫は故障しており、何らかの不具合が出火につながったとみられる。(ロンドン=榊原謙)