京都成章の岸田直倫君=林敏行撮影
(14日、高校野球 神村学園3-2京都成章)
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■京都成章・岸田直倫
京都大会のメンバー発表直前、眉毛を整えていたのがばれた。松井監督が笑顔で一言、「お前、終わったな」。そこから、いじられっぱなしだ。
数日前にあった紅白戦でエースの北山から安打した。褒められた後、「ま、お前は出ないけどな」。大会期間中に、自分の出身の兵庫県の硬式チームが宿舎に激励にきた時も「迎えに来てくれたぞ。荷物をまとめとけ」。「オッケーでーす」と笑いで返した。
いつも「またかい」と心の中で突っ込んだが、これも盛り上げ役の自分の役割だ。新チームになってから、出番がなかった。4番で先発と意気込んだ時は監督が「川岸」と書くつもりが、間違えただけ。ただ、自分は前向きなところがとりえだ。練習試合で結果を残し、春の大会途中からベンチ入りした。京都大会直前の練習試合では5番を任されたこともあった。
眉毛の失態もあったため、背番号をもらった時は心からほっとした。京都大会の出場は3試合。「まだ許してくれへんのかな」と思いつつ、「もっと出たい、出たい、出たい、出たい」。甲子園が決まった後も毎日午後10時ごろまで居残りでバットを振った。
この日、1点を追う八回2死満塁で代打に。監督が「初球から積極的に振れる。いじられても明るく、強い」と信頼して送り出してくれた。強振した打球は投直。その後、左翼でサヨナラ負けのシーンを見た。ただ「ナイスバッティング」と監督に褒められた。「本当に、うれしかったです」。潤んだ目で笑った。
卒業後は小学校時代に親しんだインドの鬼ごっこ「カバディ」に本格的に取り組みたいという。「やるなら、とことんやりますよ」(有田憲一)