北海―神戸国際大付 七回裏神戸国際大付1死一、三塁、谷口は2打席連続となる逆転3点本塁打を放つ=小林一茂撮影
野球の華、ホームラン。今夏はとにかく本塁打がよく飛び出す。第7日まで26試合を終えて37本塁打。大会史上最多の60本塁打(第88回大会=2006年)を上回るペースだ。
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「これだけ複数本塁打が出るのは記憶にない」。順延となった15日、今大会の印象を聞かれた明徳義塾(高知)の馬淵監督はそう話した。天理(奈良)の神野、神戸国際大付(兵庫)の谷口、青森山田の中沢の3人が2打席連続本塁打を放つなど、1試合平均では1・42本。1大会(48試合)に換算すると、68本を上回る。
打順に関係なく本塁打が出ている。3番打者が11本と多いが、次は6番の7本。4、7番の5本がそれに続き、8、9番や途中出場の選手も放っている。
上位でも下位でも「フルスイング」を心がける打者が多く、「野球が変わってきている」と馬淵監督。1回戦で右越えに一発を放った前橋育英(群馬)の8番飯塚は「体勢を崩されても強く振ることを意識する。トレーニングで入学から体重は10キロ以上増えました」。
現代の高校野球には「打てないと勝てない」という考えが広がる。打撃練習用マシンや金属製バットの性能向上、最先端のトレーニングによるスイング速度の向上などが「打者優勢」を後押しする。
筋力トレーニングを冬だけでなくシーズン中も続けるチームが増え、1日千回の振り込みなどで打撃を磨き上げる。今大会もそういった「打のチーム」が目立つ。2試合で3本塁打の済美・亀岡も「1・1キロのバットで1日千スイング」を続け、スイングが速く、強くなった。
「うちの場合、花巻東の大谷投手(現日本ハム)を打ちたいというのが打撃強化の原点でした」とは1回戦で作新学院(栃木)を破った盛岡大付(岩手)の関口監督。
今井(作新学院―西武)や寺島(履正社―ヤクルト)ら、ドラフト上位クラスの投手がいた昨夏は37本塁打だった。この夏は、そういった好投手が比較的少なく、「打高投低」の傾向が強く表れているとも言える。(山口史朗)
■本塁打が多かった大会
大会 (年) 本数 代表的な打者
①第88回(2006年)※ 60本 中田(大阪桐蔭)
②第94回(12年) 56本 北條(光星学院)
③第90回(08年)※ 49本 筒香(横浜)
④第66回(1984年)※ 47本 清原(PL学園)
⑤第67回(85年)※ 46本 清原(PL学園)
⑥第84回(2002年) 43本 森岡(明徳義塾)
⑦第72回(1990年)※ 39本 内之倉(鹿児島実)
⑧第82回(2000年) 38本 武内(智弁和歌山)
※第66、67、72回はラッキーゾーン撤去前。第90回は記念大会で54試合、第88回は再試合を含み49試合。その他は48試合