バンコクで3日にあった「日本語弁論大会」の参加者ら。表彰式の後、全員で記念写真に納まった=貝瀬秋彦撮影
日本と外交関係を結んで今年で130周年となるタイで日本語を学ぶ高校生や大学生らによる「日本語弁論大会」(在タイ日本大使館、国際交流基金バンコク日本文化センターなど主催)が開かれた。参加者らは自らの夢や日本に対する思いを、流暢(りゅうちょう)な日本語で披露した。
首都バンコクで3日に開かれた大会には、高校生の部、大学・一般の部にそれぞれ10人が参加。高校生の部で1位になったペンタナーライさん(17)は漫画家になる夢を語り、「私の体は一つしかないが、10人の人が私の漫画を読んだら、その人たちの心の中に10人の私が生まれる」「だれかの心の中に、いつまでも生き続けられる人になりたい」などと話した。
2位のナッタニットさん(17)は、将来のためには理系に進んだ方がいいと思う人が多いタイで「日本語を勉強していることに後悔はまったくない」と断言。将来は通訳者や翻訳者として日本語にかかわる仕事をしたいとし、「本当に好きなことをすることで、この先の人生を最高にできると信じている」と語った。
2人とも、日本語を学び始めたきっかけは、日本の漫画やアニメ、ドラマなどの影響だという。
大学・一般の部では、大学3年のボーさん(20)が1位になった。東北部マハサラカム県の農村で育ったボーさんは、コメや野菜をつくり、牛を飼う「自給自足」の生活ぶりを紹介しながら、「収入は少なくてもみんな幸せです」。両親は自分に教師になってほしいと思っているが、やりたいのは稲作だとし、「私は農業に誇りを持っている。黄金色の田んぼの中で働きたい」と思いを語った。
この3人には、日本への研修旅行が贈られた。3人とも日本に行くのは初めてといい、ボーさんは「タイでは、大阪のことをよく耳にする。大阪に行ってみたい」と笑顔を見せた。
審査委員長を務めた小林茂紀・在タイ日本大使館広報文化部長は「日ごろ、タイの若い人たちがどんなことを考えているのかを知るうえで、たいへん参考になった。参加者のみなさんが将来、日本語にみがきをかけ、日本とタイの懸け橋となることを心より祈っている」と話した。(バンコク=貝瀬秋彦)