「追捕 MANHUNT(原題)」の撮影でジョン・ウー監督(左手前)の指導をうける福山雅治(中央)とチャン・ハンユー(右端)(C)2017 Media Asia Film International Ltd. All rights Reserved
「高倉健は私にとって永遠のあこがれ。偉大なる健さんに捧げたい」
「レッドクリフ」などで知られる中国のジョン・ウー監督は8日、イタリアのベネチア映画祭(9日閉幕)の会見で、アウト・オブ・コンペティション作品として正式出品された「追捕 MANHUNT(原題)」について語った。福山雅治と中国のチャン・ハンユーのダブル主演で、舞台は日本。大阪などで大がかりなロケをし、地元のエキストラが多数参加した。
1976年に高倉健が主演したサスペンスアクション映画「君よ憤怒(ふんど)の河を渉(わた)れ」(佐藤純弥監督)のリメイク作だ。当時高倉が演じたのは、無実の罪を着せられた検事役。原田芳雄が扮する警部らに追いかけられながら、事件の真相を探る。ウー監督は「(3年前に)健さんが亡くなって深く悲しんでいたところ、この映画のリメイクの話がきた。大好きな作品だったのでうれしかった」と話す。
今作では、ハンユーが無実の罪を着せられた国際弁護士役、福山はその弁護士を追う警部役を演じた。激しいアクションをこなした福山について監督は「とても素晴らしい俳優で、一緒に仕事ができて楽しい時間を過ごせた。行く先々で彼をみようという大勢のファンがいた」と振り返る。
大阪城近くの川で水上バイクを使った激しいチェイスや、大阪駅前の雑踏の中でのアクションシーンも。地元のだんじりや、なぜか相撲の力士まで登場。ジョン・ウーならではの娯楽色ある演出が目を引く。監督は日本でのロケについて「規制が多くて、大通りで銃や車を使ったアクションを撮るのは不可能だった。だけど地元の自治体は常に他のオプションを探ってくれて、撮影にとても協力的だった」。多数のエキストラがボランティアで参加したといい、「衣装も自前なのには驚いた。この作品のために尽くしてくれた」と感謝した。
韓国のハ・ジウォン、中国のチー・ウェイ、日本からは國村隼や桜庭ななみ、斉藤工らが出演。日本では2月に公開する予定。(ベネチア=伊藤恵里奈)