国際体操連盟の渡辺守成会長=越田省吾撮影
国際体操連盟(FIG)のトップに渡辺守成会長が就任して約9カ月が過ぎた。国際スポーツのトップは、まさに政治の世界といわれる。国際オリンピック委員会(IOC)にも関わる立場から、2020年東京五輪・パラリンピックを控えた日本のスポーツ界はどう見えるのか。
――トップに立って約9カ月、発見はありますか。
「メキシコ、イスラエル、ロシア、カタールなど世界中に足を運んだ。副首相やスポーツ大臣と会談して、スポーツ政策について議論する。彼らはスポーツの重要性を理解し、夢を持って取り組んでいる。高齢化が進む中、各国でスポーツは政策の柱だ。スポーツと政治は互いに無干渉でいられないのが現実。でも、スポーツの側は政治家に踊らされていないし、むしろ政治を利用している。ロシアはドーピングという汚名をそそぐ糸口を見つけようと私を招いた。地位を利用しようとする国もある」
■「最悪の五輪になりかねない」とIOCも心配
――日本のスポーツ界は外からどう見えますか。
「スポーツの価値が理解されていない。海外に比べて、実に官僚的。だから東京五輪もカネの話ばかりになる。夢や希望の持てる国にしたいのなら、教育を見直す必要がある。そこでスポーツが果たす役割は大きい。スポーツ関係者に誇りを持ってその責務を担う自覚があるだろうか。スポーツ庁やJOCが役割を果たしていない。そもそも、将来へのビジョンがない」
――おかげで東京五輪の準備はトラブル続きです。
「五輪をなんのために開催する…