北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が中距離弾道ミサイル「火星12」の発射を現地指導したとして、朝鮮中央通信が16日、配信した写真=ロイター。奥はミサイルの移動式発射台
北朝鮮の朝鮮中央テレビは16日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が中距離弾道ミサイル「火星(ファソン)12」の発射を現地指導したと報じ、発射場面を放映した。15日朝、平壌近郊の順安(スナン)地区から発射し、日本上空を通過した弾道ミサイルとみられる。映像には、移動式発射台から直接ミサイルを発射する場面が映し出されていた。
特集:北朝鮮、ミサイル発射
朝鮮中央通信は16日、今回の発射は「実戦的な行動を確定する目的で行われた」と指摘。正恩氏が「『火星12』の戦闘性能と信頼性が徹底的に検証され、戦力化が実現した」と述べたと伝えた。また、正恩氏は、目標としてきた核戦力の完成について「最終点にほぼ達した」と語ったとした。
8月29日、日本上空を通過した「火星12」の発射では、ミサイルを車両型の移動式発射台で運んだ後、地上に降ろして打ち上げていた。ミサイルを降ろす作業がなくなれば、発射準備にかかる時間は大幅に短縮される。移動式発射台から直接発射する場面を公開することで、いつでも迅速に発射できる能力を持ったとアピールした可能性がある。(ソウル=武田肇)
■先制攻撃、対応に限界 韓国軍
北朝鮮が15日、中距離弾道ミサイル「火星12」(射程4500~5千キロ)の試射に踏み切ったのに対し、韓国軍は攻撃の兆候が見えた相手に対する先制攻撃を想定した演習を行った。発射の動きを事前に把握できていたためだが、北朝鮮が意図的に発射を見せつけていた可能性があり、対応の限界も浮かび上がっている。
北朝鮮が移動式発射台からミサイルを降ろした上で打ち上げた5月や8月の試射とはやり方を変え、移動式発射台から切り離さずに発射したことに専門家らは注目する。
これまでは移動式発射台を傷つ…