リーグ優勝し、菊池涼介選手(右)と肩を組みながら、スタンドへあいさつに向かう赤松真人選手(中央)=18日、甲子園球場、上田潤撮影
セ・リーグ連覇を果たしたプロ野球広島。25年ぶりに優勝した昨季、いぶし銀の働きを見せた赤松真人外野手(35)は今、リハビリ組が集まる3軍で黙々と汗を流す。1月に胃がんの手術。頂点に上り詰めた仲間を励みに、プロ野球選手としては異例の、がんからの1軍復帰を目指す。
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歓喜を迎えた18日の甲子園。赤松は赤いユニホームを着て、左翼席のファンへ両手を何度も振った。そして、大声援を受けた。「みんな応援してくれる。僕も頑張ることで恩返しできるかな」
表情に悲壮感はない。病気に侵される前と同じように明るい。ただ、練習すれば、現実と向き合うことになる。「全然動かないので、体が。抗がん剤の副作用が消えていない」。手のひらの感覚がない。軽くノックを受けても、捕球したボールが手に付かず、送球をミスすることもある。
2004年秋のドラフト6位で立命館大から阪神に入団。08年からは広島でプレーする。代走や守備固めとして、試合終盤には欠かせない存在だ。朗らかな性格でベンチのムードメーカーでもあった。
胃がんが発覚したのは昨年12月。家族の勧めで受けた人間ドックで分かり、「自覚症状もなく、うそだろって」。すぐに手術で胃の半分近くを切除した。だが、リンパ節にも転移していた。ステージ3だった。半年間の抗がん剤治療は「想像を絶するもの」と語る。嘔吐(おうと)と下痢を繰り返し、夜中も眠れない日々だった。77キロあった体重は10キロ減っていた。
過酷な日々を支えたのが、チー…