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ここ10年でSNSがもたらした変化

微信(WeChat)が最近、誕生から10周年を迎えた。2009年8月に微博(ウェイボー)がサービス提供を開始した時から数えると、中国のSNSにはすでに10年以上の発展の歴史があることになる。この10年は、中国のSNSプラットフォームが芽を出して成長し、実を結び、今の時代と社会に大きな影響を与えるようになった鍵となる期間だったと言えるだろう。光明日報が報じた。


QQやBBS(電子掲示板)、ブログなどが、インターネット上に構築されたソーシャルコミュニケーションの「創世時代」における代表であるとするならば、第二世代インターネット技術と共に台頭したSNSプラットフォームは、SNSの黄金時代の到来を告げた存在と言えるだろう。ここ10年の間に、スマートフォンが全面的に普及し、中国ではSNSが、モバイルソーシャルネットワークの発展の波にいち早く乗った。


2010年末、中国のスマホのインターネットユーザー数は2億8800万人だった。それから約10年後の2020年6月には、その規模は9億3200万人にまで増加した。うち、スマホを通してSNSを含む各種リアルタイム通信サービスを利用しているネットユーザーの数は9億3000万人と、スマホを利用するネットユーザーの99.8%を占めるようになった。


10年後の人々は現在、ショートメッセージを送信することも、新聞を読んだりすることもほとんどなくなっていることに気付いているだろう。スマートフォン、特にそれにインストールしているSNSアプリが今、他の人と連絡を取り合ったり、情報を入手したり、サービスを利用したりする唯一のチャンネルとさえなっている。スマートフォンのSNSが、人と人との交際スタイルやリズムを再定義し、モーメンツやグループチャットなどが、現代の中国人の交際関係から仕事や家庭のスタイルにまで大きな変化をもたらしている。


ネット通販やデリバリーなども、新しく生まれた今の時代を象徴するサービスだ。今の時代、人々は自宅にいながら、気に入った商品を購入して、家まで届けてもらう便利なサービスを利用することが習慣となっている。そのようなビジネススタイルは、数多くの人に起業して、富を築くチャンスを提供しているだけでなく、社会化したECという新たなスタイルを派生させている。これは、現代の中国のビジネススタイルだけでなく経済全体のメカニズムにまで大きな変化をもたらした。


ここ10年、中国の各級政府機関が微博や微信などの主流SNSプラットフォームに公式アカウントを開設するというのが「ニューノーマル」となり、ソーシャル化された政務メディアが現代の中国の社会ガバナンスにおいて、すでに重要な部分となっているのは間違いない。人々がSNSを通して上げる声は、政策の調整やガバナンススタイルのアップデートを促し、優れた統治を実現する国家の意志とうまく絡み合い、現代の中国の政治文明の建設がさらに進むよう促進している。


SNSの発展は、人間関係や文化スタイル、経済発展、政治的コミュニケーションなど、各方面で社会に積極的な変化をもたらした。それら全ては、ここ10年の間に、SNSの発展が私たちの時代にもたらした「ギフト」であると言ってもいいだろう。


しかし、SNSが急速に発展したこの10年は、私たちが反省し、考えるべき問題がなかった期間でも決してない。例えば、他の人と連絡を取るのが非常に便利になった反面、SNSはプライベートの時間にも何のためらいもなく割って入ってくるため、仕事上のストレスやコミュニケーション不安がこれまでになく深刻になっている。また、多くの人は、バーチャル空間で他の人と交流することに慣れていくにつれて、自分で作り上げた居心地のよい「インフォメーションコクーン」に籠もり、実際に会って会話したり、いろんな人の意見に耳を傾けたりするようなことが非常に貴重であるということを次第に忘れるようになってしまっている。SNSで会話が盛り上がったとしても、人と人との距離が必ずしも縮まるわけでなく、実際に誰かと会ったとしても、それぞれがスマホの画面に向き合っているというのが、今の時代至る所で見られる現象だ。さらに、SNSが飛ぶ鳥を落とす勢いで成長する中、オンラインショッピングが流行し、多くの人が、消費主義の落とし穴にはまって抜け出せなくなっている。SNSの世界では、権威ある情報の供給が不足し、不正確な情報が無秩序に飛び交っているため、信頼コストは高まり、認知バイアス、社会不安の温床となっている。ビッグデータ技術は、私たちに便利をもたらすと同時に、個人情報の漏洩やプライバシーの侵害などの懸念ももたらした。また、多くの人は、SNSが指し示す方向に一心不乱に進み、ストップしてQRコードやスマホが牛耳る今の時代について行くことができず、後れを取っている周りの人のことを待つことを忘れてしまっている。


こうした様々な課題は、SNS時代の今、決して回避することのできない別の側面となっている。今後10年は、いかにメリットを最大限伸ばして、デメリットを減らし、SNSが国の発展や社会の進歩、国民の福祉にさらに寄与するようにできるかが、検討し続けるべき重大な命題となるだろう。(編集KN)


(文・黄典林、中国伝媒大学伝播研究院准教授)


「人民網日本語版」2021年1月29日


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