ギャンブル依存症の疑いがある人が全国に約70万人いるとの推計を、厚生労働省が29日に発表した。カジノ開設に向けた検討が進むなか、ギャンブル依存症対策は海外に比べて遅れているとされ、厚労省は「実態をふまえて、相談機関や医療機関の整備などを進めたい」としている。
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ギャンブル依存症の調査は過去に何度か行われたが、今回は初めて全国規模の面接調査となった。研究班は「より実態を反映していると思う」とする。
調査は5~9月、無作為に選んだ20~74歳の1万人に実施。4685人が回答した。「ギャンブルで負けたとき、取り戻そうとして別の日にギャンブルをしたか」「やめようと思っても不可能だと感じたことがあるか」など12項目について過去1年にあったかどうか聞き、点数化して判定した。
その結果、依存症が疑われる20~74歳の人は全国に0・8%、約70万人いると推計した。男性は1・5%、女性は0・1%。調査で依存症が疑われた人の平均年齢は46・5歳。1カ月の賭け金は平均約5・8万円で、約8割の人はパチンコ・パチスロに最もお金を使っていた。
また、生涯のうちに一度でも依存症だった疑いのある人は推計3・6%(約320万人)。同じ判定基準で調査した海外の例では、1~2%以下の国が多く、日本は比較的高いという。
調査を担った国立病院機構久里浜医療センターの松下幸生副院長は29日の会見で「電話調査の国が多いなど、調査方法が異なるため比較は難しい」としたうえで、「日本では外国より(パチンコなど)ギャンブルが身近にあり、いつでも利用できるという環境の違いが影響している可能性はある」と指摘した。(生田大介)