トヨタが自動運転の検証に使っている自動車=東京都千代田区
内閣府は3日、自動運転に欠かせない3次元の「デジタル地図」を検証するため、東名高速や東京・お台場周辺などで実証実験を始めたと発表した。日独の自動車関連企業や大学など21団体が参加する。
自動運転で安全に走るためには、刻々と変わる車線や信号機の情報に加え、交通標識などの周辺データが欠かせないため、三菱電機や地図大手ゼンリン、国内自動車メーカー各社などは新会社を設立し、3次元地図作りを進めている。
今回の実験には、自動運転を研究開発している企業や大学が参加。東名や首都高など計300キロの高速道と、お台場やつくば市などの一般道で、これまでに作られた3次元地図が実際に活用できるか検証する。
自動運転の分野で日本の市場への参入を計画しているドイツの車部品企業「コンチネンタル・オートモーティブ」は、日本ですでに2万キロの実証実験を実施。同社は「カーブの多い高速道路や、狭い都市部の道路など日本の道路に適応するためにもマップの検証を進めていきたい」としている。(杉本崇)
■「実用化近づきつつある」 各地で実験
高度な自動運転の実用化をめざし、ドライバーを乗せずに乗用車を走らせる実証実験が3日、愛知県刈谷市のパーキングエリアであった。自動車産業の競争力強化を狙う愛知県が、地図の技術に強いアイサンテクノロジー(名古屋市)に委託して実施した。来春までに県内3市町の公道での実験も予定している。
アイサンが用意したミニバンは屋根上のセンサーで周囲を確認。地図と照らし合わせながら、カーブのあるコースを自動で走った。
前後などを映す6台のカメラも備え、このカメラの映像を見ながらハンドルやブレーキを遠隔で操作できる体制でのぞんだ。安全を確保するためで、最高時速も約20キロに抑えた。
アイサンの加藤淳社長は「技術では実用化が近づきつつある。さらに実験を重ねたい」と話した。この実験を支援している東京大学の加藤真平准教授は「愛知県の取り組みは全国でも断トツ。過疎地の公共バスなどに需要があり、2020年には一部地域で実用化が進むのでは」と話した。(山本知弘)