加藤登紀子さん
ノーベル平和賞受賞が決まった国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」。歌手の加藤登紀子さんと、バレリーナの森下洋子さんが談話を寄せた。
ノーベル平和賞にNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」
特集:核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)
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《反戦、反核をテーマにした楽曲も手がける歌手の加藤登紀子さんの話》 核兵器廃絶を目指す運動に携わった団体の受賞が決まったことは素晴らしい。
広島と長崎で二重被爆した山口彊(つとむ)さんの記録映画で、主題歌とナレーションを担当した。被爆者ら戦争を知る世代の高齢化が進むなか、体験者の言葉を自分のものとして消化し、歴史的事実として伝えていく役割があると考えている。音楽もその方法の一つだ。
核兵器禁止条約はもちろん評価されるべきものだが、できれば核兵器だけでなく、核そのものの禁止に世界が動き出してほしい。すべての核は命を脅かすもので、あってはならない。
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《祖母と母が被爆した広島出身のバレリーナ・森下洋子さんの話》 原爆ドームの近くで暮らし、体の左半分にやけどの痕がある祖母の姿を見て育った。平和への祈りが小さいころから強く心の中にあり、今の芸術活動の根源にもなっている。
被爆国である日本が核兵器禁止条約に署名していない矛盾や、北朝鮮が核実験をするなど核が拡散している状況から、すぐに「核なき世界」というゴールに届かないかもしれない。
でも、今回の受賞決定で確実に一歩前に進んだことは間違いない。心からよかったと感じるし、祖母も喜んでいると思う。これをきっかけに、世界の平和への祈りをより強く持って舞台に上がり、さらに声を大きくして核廃絶を訴えたい。