公示前の勢力と与党の勝敗ライン(定数465)
今回の衆院選は、自民党の議席数が焦点だ。東京都議選の惨敗から3カ月。森友・加計学園問題などで自民党への逆風はやんでおらず、自民党が強い地域を中心に定数も減る。安倍晋三首相自身も議席減を覚悟しており、その減り幅によって政界が流動化する可能性がある。
特集:2017衆院選
安倍首相は10日、第一声に選んだ福島市、続く岩手県一関市の演説で、「厳しい、本当に厳しい戦いだ」などと繰り返した。過去4回の国政選挙は、いずれも追い風を受けるか、野党が自滅する中での選挙戦。野党は今回も混乱しているが、自らが赴く演説会場で抗議行動を受けることを警戒せざるを得ない選挙戦であり、危機感は強い。
勝敗ラインは、「与党で過半数維持」と低いハードルを設定。自民、公明両党の議席が公示前勢力から計85議席減っても続投できる計算になる。大幅減の場合の「安倍おろし」を警戒し、10日夜に出演したNHK番組では「自民党が内輪もめするようではいけない」と牽制(けんせい)した。
しかし、そう単純な話ではない。衆院17の常任委員長を独占し、委員の数でも過半数を確保する「絶対安定多数」の261、委員の数が半数となる「安定多数」の244をそれぞれ割り込めば、首相が続投したとしても連立を組む公明党の発言力が相対的に高まり、憲法9条の改正議論にも影響が出そうだ。
自民党内の見方も一様ではない…