バイク店経営の梅沢さんが初心者に勧める原付きスクーター=2018年4月23日、さいたま市浦和区岸町4丁目
高校生にはバイクの免許取得、購入、乗車を認めない――。埼玉で1981年から貫かれてきたそんな教育方針を、県教委が見直そうとしている。方針は「三ない運動」とも呼ばれ、事故防止に一役買ってはきたが、いまの社会情勢に合わなくなってきたという。
「『三ない運動』は廃止し、バイクに乗ることを見越した新たな交通安全教育を各高校で進めるべきだ」
今年2月、高校生のバイク利用について1年余り議論してきた県教委の検討委員会が、こんな報告書をまとめた。
検討委はバイク利用を認める条件として、生徒に届け出をさせる▽免許取得時とは別に追加の安全講習を受けさせる▽必要な保険に加入させる――などを提案。県教委は今後、これをもとに県内統一のルール作りを進める。
「三ない運動」は高校生のバイク事故や暴走行為が社会問題となった1970年代以降に全国的に広まった。埼玉も81年から採り入れ、昨年9月末時点でも県内の全公立高と、9割の私立高が校則などでバイクを禁じ、遠距離通学など特別な場合しか認めていない。
だが「時代遅れ感」も出てきた。報告書によると、群馬県が3年前に三ない運動をやめた後は、関東圏で続けているのは埼玉だけ。集団暴走も減った。高校生の事故死傷者が減るなど、果たした役割は大きいが、こっそり免許を取る生徒はゼロにはならず、事故根絶は難しい。
であれば、一定の条件下で利用…