公開された準天頂衛星「みちびき」2号機=2017年4月5日、茨城県つくば市の宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター
「日本版GPS(全地球測位システム)」と呼ばれる準天頂衛星「みちびき」の4号機が10日、打ち上げられた。今回の成功によって、来年度から高い精度の位置測定サービスが始まる。どんな仕組みなのか。
1~4号機までを3DCGでチェック
準天頂衛星みちびき4号打ち上げ成功 日本版GPSへ
みちびきは、位置情報サービスの精度を高めるため4機の衛星で構成されたシステムだ。来年度からサービスが始まると、スマホやカーナビの精度向上につながる。
衛星での測位は、電波を4機以上から地上で受信できれば可能だが、高い精度の測位には8機以上が必要とされている。米国が運用しているGPSは、地球全体に30機以上の衛星が配置されているが、それぞれの地点では6機の電波しか受信できなかった。
みちびきは、GPSと互換性を持ち、3機が日本とオーストラリアの上空をつなぐ8の字に見える特殊な軌道で飛ぶ。この地域では、GPSと合わせて9機からの電波を受信できるようになり、測位の精度が高まる。現在はビルの谷間や山間部などで生じる数十メートルの誤差が、日本の真上から電波を受信できるようになることで、10メートルほどに縮まると国は見込んでいる。
東京大空間情報科学研究センター長の小口高教授は「日本でカーナビが世界に先駆けて普及したのは、狭い道路が複雑に入り組む都市での移動に役立ったからだ。測位の高精度化は、日本では特に恩恵が大きいのでは」と話す。
もう一つの特徴は、専用の受信機を使うことで、誤差6センチという、きわめて高い精度の測位ができることだ。衛星からの電波は、大気上層の「電離層」が乱れると影響を受けるが、国土地理院が全国に持つ電子基準点のうち、約300カ所と通信し、データセンターで誤差を補正する。
低速で畑を耕すトラクターの自動運転などの活用を国は想定している。高速で移動する自動車だと誤差は12センチになり、ほかのセンサーと組み合わせれば自動運転への応用も考えられるという。
ただ、このサービスの試験で使…