投入堂
鳥取県三朝町の三仏寺(さんぶつじ)の奥の院「投入堂(なげいれどう)」(国宝)への参拝で、寺が登山者に有料で提供するわら草履が足りなくなる可能性が出てきた。登山者が増える一方、危険な山道に耐えられる頑丈なわら草履を作る職人が減ったためで、寺では登山シーズンの秋を迎えて気をもんでいる。
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投入堂は三徳山(みとくさん=標高約900メートル)の中腹の断崖絶壁に立つ。古くから山岳信仰の山として知られる。2006年の「開山1300年祭」の前後に登山者が増え、その後も観光地としての人気が定着。いま年間4万~5万人が訪れる。
9月上旬、三徳山の登山受付所で、女子大学生や軽装の外国人らが滑りやすい靴か、スニーカーの底がすり減っていないかなどのチェックを受けていた。投入堂までの道は険しく、靴底がしっかりした靴か、参拝客用に用意したわら草履以外での登山は認めていない。
この日も、許可が下りない人や希望者は700円のわら草履を購入し、履き替えて山道へと向かっていった。登山靴なら入山を認められることが多いが、硬い靴底で山道が削られてしまうことがあり、同寺の執事次長の米田良順さん(38)は「第一にわら草履を推奨しています」と話す。
寺では毎年3千~4千足のわら草履を仕入れてきたが、職人の高齢化で、最近はギリギリの状態が続いていた。さらに、頼りにしていた鳥取市内の仕入れ業者がなくなり、今年は足りなくなる可能性が出てきた。約10年前から新しい仕入れ先を探すが、編み方が緩かったり、鼻緒が抜けたりするなど、厳しい山道に耐えるものは少ないという。
わら草履に適した長いわらが減…