トヨタ自動車が出展する1人乗り電気自動車(EV)の試作車「コンセプト・アイ ウォーク」
2年に1度の自動車の祭典、東京モーターショーが27日から始まる。国内自動車メーカーは、開発競争にしのぎを削る電気自動車(EV)や自動運転などの分野で先端技術をアピールする構えで、各社の出展内容がほぼ出そろった。人工知能(AI)を活用した試作車の出展も目立つ。
東京モーターショー2017
時代を映すコンセプトカー
トヨタ自動車は16日、「未来の愛車」として提案する3タイプの電気自動車(EV)の試作車を出展すると発表した。海外で配車サービスが広がり、車の所有からシェア(共有)への流れが強まっていることも意識した試作車だ。
2人乗りの「コンセプト・アイ ライド」は、フル充電で走れる航続距離は100~150キロほどと長くないが、小回りがきく。都市部でのシェアサービスでの利用も想定。1人乗りで、立って操る「コンセプト・アイ ウォーク」は、観光地などでのシェア利用を見込む。
4人乗りの「コンセプト・アイ」は、AIがドライバーの表情や動作、声から気持ちを推し量り、疲れた時に自動運転に切り替えたり、運転手が好みそうな経路を薦めたりする。AIが集めたデータを、シェアサービス向けの車両に移して使うことも想定している。
EVは世界的な環境規制で追い風を受けており、各社とも力を入れる。日産自動車は、最先端のEVの試作車を世界初公開するほか、10月に全面改良して発売したEV「リーフ」のスポーツ仕様車も出展する。
ホンダも、EVのスポーツカーの試作車を世界初公開。2019年に欧州で売り出す小型EVのベースとなる試作車も披露する。三菱自動車が出展するスポーツ用多目的車(SUV)のEVの試作車は、AIでドライバーの運転の「腕」を把握し、より上手な運転方法を提案する。
少子高齢化の課題に取り組む姿勢も打ち出す。ダイハツ工業が出展する商用EVの軽自動車「DNプロカーゴ」は、働く女性や高齢者の使いやすさを重視してデザインした。乗り降りや重い荷物を積み込む際に負担が少ないよう、床を低く下げた設計になっている。
東京モーターショーの入場者は、ピークの1991年には200万人を超えていたが、前回の2015年は80万人ほどにとどまっている。海外勢の出展も前回より減っており、VR(仮想現実)を使った展示などで新機軸を打ち出そうとしている。
今年は東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月27日~11月5日に開催される。報道向け内覧会が10月25~26日、開会式が27日にあり、一般公開は28日から。(山本知弘、青山直篤)