木戸大地さんの遺影とともに会見する父の一仁さん=19日、広島市中区、小林圭撮影
兵庫県警機動隊の巡査だった木戸大地さん(当時24)が2015年10月に自殺したのは警察内部のパワーハラスメントが原因だったとして、広島市在住の両親が19日、兵庫県に計約8千万円の損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。
会見した父親の一仁(かずひと)さん(69)や訴状などによると、木戸さんは09年に採用され、12年から機動隊に配属。13年9月の重機操作に関する試験の際、同僚に解答を見せたと直属の上司ではない巡査長(当時)に言いがかりをつけられ、カンニングさせたことを認めるよう執拗(しつよう)に迫られたという。また、別の上司の命令で会合の際に裸踊りをさせられたほか、日ごろから暴言を言われたり、体罰を加えられたりしていたという。
遺族側はこうした一連の行為をパワハラと主張。15年7月にはうつ病を発症し、同8月ごろから婚約者に「死にたい」と言うようになったという。隊舎で自殺を図って意識不明になった同10月6日にも、2年前のカンニングを認めるよう迫られたことが、直接の原因と訴えている。木戸さんは同15日に死亡した。一仁さんは「無念でたまりません。何があったか真実を明らかにしたい」と涙ながらに語った。
木戸さんの自殺の前月にも機動隊の同僚が自殺していたことを受け、県警は内部調査を実施。組織を適正に管理運営できていなかったと、同12月に当時の機動隊長を本部長注意処分とした。一方、「個々の隊員に配慮を欠く言動があったが、パワハラやいじめと言えるような行為ではなかった」と結論づけていた。
県警の倉野喜朗監察官室長は「亡くなった職員のご冥福をお祈り申し上げる。訴状が届いておらず、コメントできない」としている。(小林圭、高橋健人、川田惇史)