激しい炎に包まれるホテル(宿泊していた男性提供)
ミャンマーのホテルで19日未明、火災があり、日本人男性が死亡した。「激しく炎が上がってどんどん広がった」。同じホテルに宿泊していた別の日本人男性(38)が、朝日新聞の取材に火災の激しさを語った。
ミャンマーの老舗ホテルで火災 日本人男性らの遺体
火災があったのは同国最大都市ヤンゴンの中心部にある「カンドージパレスホテル」。観光客に人気の五つ星ホテルだった。
交際相手とその両親と2部屋に分かれて宿泊していた男性は、就寝していた同日午前3時ごろ、廊下を走る音や怒鳴り声で目覚めたという。「最初は酔っぱらいの騒ぎかと思った」。従業員が部屋を回り、ミャンマー語で「火事だ」と話していたことから避難を開始。ドアを開けると煙が回ってきたためハンドバッグだけを持って外に出たという。
男性は別館に宿泊し、火が出たのは本館。当初は建物の裏手が燃え、そのうち正面まで炎が広がった。「かやぶきのような屋根が燃え、パーンと建物が焼け落ちるような音も聞こえた」。建物前の駐車場に避難していたが、徐々に規制線が広がっていったという。
鎮火したのは午前7時ごろ。交際相手と両親にけがはなかったが、荷物は焼失。男性が両親にプレゼントしたお酒も巻き込まれた。男性の部屋周辺は火の手から逃れ、パソコンや携帯電話なども無事だったという。
男性は「きちんとしたホテルだと信頼して宿泊したが、火災報知機は鳴らず、防火扉や防火カーテンも見あたらなかった。きちんと整備していればこんな火災にはならなかったのではないか。他にも日本人客がいたので心配です」と話した。(竹野内崇宏)