第48回衆院選は23日、開票作業が進み、自民、公明両党で、憲法改正発議の要件となる定数の「3分の2」(310議席)を超え、与党が大勝した。安倍晋三首相(自民党総裁)と公明党の山口那津男代表は23日午後、国会内で会談し、連立政権の維持で合意する。一方、枝野幸男・元官房長官が立ち上げた立憲民主党は公示前勢力の15議席から躍進して50議席を上回り、野党第1党となった。総務省は23日、小選挙区の投票率が53・68%だったと発表。戦後最低となった前回2014年衆院選の投票率52・66%に次ぐ低さになった。
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自民党は、少なくとも283議席を確保。「一票の格差」是正などで定数が10削減されたため、議席占有率では公示前(284議席)を上回る大勝となった。22日深夜から23日未明にかけて党本部で二階俊博幹事長らと開票状況を見守った首相は「こんなにいくとは思わなかった」と語ったという。
首相は23日午前に首相官邸に入る際、「ここからが新たなスタート。政策を実行し、結果を出していきたい」と記者団に語った。
その後、トランプ米大統領と電話で協議。トランプ氏が「強いリーダーが国民から強い支持を得たことは非常に重要」と自民党の大勝に祝意を示すと、首相は「北朝鮮の脅威に対し、揺るぎない日米同盟の下、可能な限りの圧力をかけ、北朝鮮に政策を変更させなければならない。そのことを全ての演説で力強く訴えた」と応じた。
首相は今回の勝利を受け、自身が提案する憲法への「自衛隊明記」など公約に掲げた4項目について、党内での改憲論議を加速させる。改憲論議に積極的な小池百合子・東京都知事が率いる希望の党も一定の勢力になったことを受け、与野党協議に入る考えだ。
一方、与党の公明党は公示前の34議席を下回ることが確実に。同党は23日、「党自身の力量が足りなかったと言わざるを得ない」とする声明を発表した。
首相と公明党の山口代表は23日午後、国会内で会談し、連立政権継続の合意文書に署名する。
党首会談に先立ち、自民党の二階俊博幹事長と公明党の井上義久幹事長らは23日午前、国会内で会談し、特別国会の11月1日召集を確認。会期は8日までの方向で、会談では「謙虚にやっていこう」と一致した。
野党では希望の党が公示前勢力を割り込む一方、立憲民主党は少なくとも54議席を獲得し、野党第1党になった。ただ、最高でも55議席にとどまる見込み。1996年に現在の小選挙区比例代表並立制が導入されて以来、野党第1党としては12年の民主党の57議席を下回り、過去最低の当選者数となる。
開票作業は台風21号の影響で、佐賀県唐津市や沖縄県南城市など全国8県の12市村で延期され、いずれも23日に行われる予定。