出火から一夜明けた大蔵市場。木造2階建ての建物が軒を連ねていたが、ほぼ崩れ落ちていた=26日午前8時14分、明石市大蔵中町、森岡航平撮影
兵庫県明石市大蔵中町の「大蔵市場」で起きた火災は26日午前6時45分ごろ、出火から約15時間後にようやく鎮火した。県警によると、市場(敷地面積約1300平方メートル)の北寄りの一角から炎が上がっていたとの目撃情報が複数あるという。県警は同日午前、明石市消防本部と合同で現場検証を実施し、出火原因を詳しく調べている。
市場で火災、30軒延べ2600平方m全焼 兵庫・明石
市消防本部などによると、市場には6棟の建物に木造2階建ての店舗兼住宅など33軒が並んでいた。これらがすべて焼け落ちたほか、市場の西側に隣接する住宅3軒が全焼した。
また、強い北風で火の粉が激しく飛び、市場南側の道路と別の住宅を隔て、約30メートル離れた住宅1軒も全焼した。この家の隣には高齢者のグループホーム「大蔵の里」があり、車いすの4人を含む68~97歳の入居者15人が近くの市立中崎小学校に避難した。
施設管理者の飯嶋武史さん(36)は「施設に煙が迫るなか、何度も車で往復した。夜はみんなそわそわし、眠れなかった。入居者の体調が心配です」と話した。朝、施設に戻ると、飛んできた燃えかすが敷地内に散らばっていたという。
中崎小学校には出火直後に約50人が避難し、うち約40人が教室や体育館で一夜を明かした。古野英武さん(73)は親がかつて市場で鮮魚店を営み、子どもの頃から市場で暮らした。貴重品を持ち出す時間もなく避難したという。「寒くて何度も起きた。すべて失った。みんなで支え合っていくしかない。前を向いて行く」と語った。
明石市の泉房穂市長は26日午前、避難所と現場を訪れ、住民らに「今夜からでも入居できる市営住宅を用意し、ベッドのある施設も確保しています」と説明した。市によると、市場は十数年前まで商店街としての組織があったが、すでに解散し、数店が個別に営業を続けていたという。