記者が子どものころ、駄菓子屋の店先には、10円玉で遊べるゲーム機が置かれていた。今でも遊べるのが「駄菓子屋ゲーム博物館」(東京都板橋区)だ。
約40平方メートルのスペースには、1970年代後半に製造されたゲーム機を中心に57台がずらり。投入した10円玉を穴に落とさないよう転がしてゴールの博多まで運ぶ「新幹線ゲーム」。ルーレットでどの色のスーパーカーの場所に止まるかを当てる「スーパーカーズ」。一本足打法の野球選手が描かれた「ベースボール」……。どれも時代の流行を反映している。
10円玉か10円分のメダルを入れて遊ぶ。ゴールすると当たり券が出てきて、駄菓子と交換できる。休日になると、10円玉を握りしめた近所の小学生たちの歓声が響く。「高度なテクニックが必要なもの、運に任せるしかないものなど種類も様々。ルールは簡単なので、誰でも遊べます」と館長の岸昭仁さん(49)。
すべて岸さんが集めたものだ。小学5年の時、通りかかった米屋の軒先に倒れて放置されていたゲーム機を見つけ、譲ってもらった。「自転車の荷台に積んで持ち帰る時のワクワク感が、コレクションにつながりました」。中学生になって本格的に集め始め、自宅の押し入れに並べて夢中で遊んだ。物置もゲーム機でいっぱいに。時には埼玉県まで足を運び、集めた台数は約120にのぼった。
2005年には、板橋区の「空…