捕獲されたアライグマ(環境省提供)
アライグマを自宅で飼い、その後に放したとして大阪府富田林市の女性が特定外来生物法違反(飼養、放出)の疑いで書類送検された。
アライグマを飼育・放した疑いで書類送検 全国初摘発
アライグマは北米が原産で、元々は国内に生息しなかった動物だ。だが、近年ではほぼ全国に生息しているとみられ、農作物や生態系への影響が深刻化している。
国内での野生化は、1962年に愛知県の動物園から逃げ出した12匹が繁殖したものが最初といわれている。70年代に放送されたテレビアニメの影響などから一時は盛んに輸入された。
だが、可愛らしい外見の一方で、感覚を触覚に頼ることや成獣になると気性が荒くなるなど人間になじまない側面もある。飼い主が飼育を放棄したり、学習能力が高く手先が器用なため自らケージを開けて脱走したりして、野生化したケースも多い。
環境省によると、90年代半ばには北海道や愛知県周辺など限られた範囲だった生息情報は、2006年度の調査では関東や近畿、九州まで拡大。現在ではほぼ全国に生息しているとみられる。10年には東京都心の皇居でも捕獲された。女性がアライグマを見つけた堺市でも、市によると「家の敷地内に入って怖い」といった相談が寄せられているという。市は07年度から捕獲用のオリの設置や貸し出しを開始。16年度は229匹が捕獲された。
在来種が食べられてしまうなど生態系への悪影響や感染症のおそれなどから、05年に特定外来生物法が施行され、原則として輸入や譲渡、飼育や移動などが禁止された。環境省によると、全国の捕獲数は04年度の約3千匹から14年度は10倍の約3万匹に。同省の担当者は「最終的には完全な駆除が目標。見つけたり捕獲したりしたら、まずは自治体に連絡を」と話す。捕獲されたアライグマは原則として殺処分されている。
農作物への被害も増加傾向だ。…