石橋和歩容疑者=10日、北九州市、佐藤栞撮影
神奈川県大井町の東名高速で6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡、娘2人がけがをした事故で、自動車運転死傷処罰法の過失運転致死傷容疑などで逮捕された建設作業員石橋和歩容疑者(25)=福岡県中間市=について、横浜地検は31日、より罰則の重い同法の危険運転致死傷罪と暴行罪で起訴した。捜査関係者への取材でわかった。裁判員が加わる裁判で審理される。
石橋容疑者は6月5日夜、静岡市清水区の車整備業萩山嘉久さん(当時45)一家のワゴン車に後方から極端に接近してあおったうえ、前に割り込んで減速する妨害を約1・4キロにわたって繰り返したとされる。
手前の休憩所で萩山さんから車の止め方を注意されたことに腹を立て、最高で時速150キロに近いとみられる速度で追走していた。調べに「文句を言われてカッとなり、直接言い返してやろうと思った」などと供述しているという。
石橋容疑者はワゴン車の進路を塞いで停車させた後、萩山さんの胸ぐらをつかむなどの暴行を加えていた。事故が起きたのは停車から約3分後で、ワゴン車の走行を妨害した運転行為の最中ではなかったことから、危険運転致死傷容疑での逮捕は見送った。その後の調べで、地検は停車後の暴行も運転と一連の行為と認定でき、危険運転致死傷罪での起訴は可能と判断したとみられる。
故意があったとみなす危険運転により人を死亡させた場合の法定刑は「1年以上の有期懲役」。上限は懲役20年だが、他の罪が併合されるなどすれば最長で懲役30年まで適用できる。これに対し、過失運転致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役」などと同法で規定されている。
この事故では萩山さんと妻友香さん(当時39)が亡くなり、高校1年と小学6年の姉妹もけがをした。(古田寛也、伊藤和也)