各地に広がる梅毒感染
梅毒の感染が全国的に広がっている。国立感染症研究所が31日発表した患者数は、今年に入って10月22日までで計4568人。42年ぶりに4千人を超えた昨年1年間の4518人をすでに上回った。これまで多かった東京、大阪などの大都市以外の地方でも患者が増えている。
感染研によると、都道府県別では、東京が最も多く1423人。次いで大阪624人、愛知277人、神奈川258人、福岡190人と続いた。地方でも患者の増加が目立つ。昨年38人だった岡山は135人、15人だった熊本は55人とそれぞれ3倍超に急増。広島109人、香川59人、青森57人、山口21人と、いずれも昨年の2倍を超えた。
患者は2010年から増加。女性は20代に多く、男性は20~40代に多い。性産業に従事する若い女性やその客となる男性の間で感染が広がっている可能性が指摘されている。
梅毒は主に性行為で感染する。感染して3週間ほど後に陰部などに潰瘍(かいよう)ができ、1、2カ月後に全身に発疹が出る。妊婦が感染すると、流産や死産になったり、生まれた子どもの目や耳などに障害が出たりする。コンドームを使うことで感染のリスクを減らすことができ、治療にはペニシリンが有効だ。
大西真・感染研細菌第一部長は「感染が各地に広がってきている。感染の恐れがある人は早く医療機関を受診してほしい」と話す。(土肥修一)