公的医療保険の対象となっているアトピー性皮膚炎などに使う塗り薬を、「美容クリーム」として使っている人がいるとして、厚生労働省は処方に一定の制限をかける方針を固めた。医師が1度に処方できる量に上限を設けることなどを検討する。不適切な保険の使い方を減らして医療費を抑える狙いだ。
高級美容クリームより処方薬 医療費増、乏しい危機感
この塗り薬は「ヒルドイド」とその後発医薬品。保湿効果があり、雑誌やインターネットで美容クリームとして紹介されることが多い。ヒルドイドはソフト軟膏(なんこう)タイプ50グラム入りの公定価格は1185円だが、公的保険が効くため、医師から処方されれば現役世代なら自己負担は約350円で済む。
厚労省の調査では、ヒルドイドは25グラム入りのチューブだと、1回あたり4本以下で処方されることが多い。ところが、1回で51本分以上処方されている事例もあった。
また、アトピー性皮膚炎の場合、一般的にかゆみ止めの薬などと一緒に処方される。だが、健康保険組合連合会(健保連)が25~29歳の加入者の2014年10月~16年9月のレセプト(診療報酬明細書)を調べたところ、男性の単独処方は14年10月からの1年間と15年10月からの1年間を比べると65件(1・8%)の増加だったのに対し、女性は1万7245件へ2203件(14・6%)も増えていた。(水戸部六美)