流山市で生まれたヘルスバレーボール=流山市のキッコーマンアリーナ
バレーボールから派生した生涯スポーツ向けの変形バレーボールの競技が、千葉県内で三つも生まれている。流山、千葉、茂原で考案され、それぞれ全国大会などを開催。独自性を保ちながら互いに交わることなく、ガラパゴス的に地域で普及している。
流山市で誕生したヘルスバレーボールは、バドミントンのダブルスのコート(13・4メートル×6・1メートル)を使い、ネット高は2メートル。1チーム4~6人で2~5回で返球し、1回で返すと相手の得点になる。ストレッチ体操用のヘルスボールは長径が約90センチ、短径が約50センチの長円形。ボールの動きが予測できないことも面白さにつながっている。
競技はヘルスボールを使った球技を考える中で1978年ごろに生まれ、2010年の千葉国体では公開競技にもなった。今年7月に初の全国大会が開かれ、茨城県ひたちなか市や群馬県館林市などのチームも含む33チームが参加。流山市を拠点に活動する日本ヘルスバレーボール連盟の木村敏彦会長は「練習を積まなくてもパッと集まってできる。若い人の参加も増えている」と話す。
千葉市のゴムバレーは、市内でしか買うことができないというゴム製の専用ボールを使う。コートは18メートル×9メートル、ネット高は2・4メートル。9人制で3回以内で返球し、ネットより上からの攻撃や1回で返すのは反則になる。
旧花見川第二小学校で活動するレッツ花見川の練習では、スパイクとブロックのないバレーのようで、ラリーが長く続いていた。代表の丸山淳子さんは「年配の人も一緒に楽しめ、みんなで仲良くできるのがいいですね」と言う。体力づくりとして小学校のPTA単位で始まった競技で、家庭バレーボールとも呼ばれ、50年以上の歴史がある。今年6月の市大会には156チームが出場した。
茂原市のタッチバレーボールは、北海道大樹町のミニバレーをヒントに生まれた。ビーチボールのようなビニール製のボールを使い、コートはヘルスバレーと同じ広さでネット高は1・85メートル。4人制で3~5回で返球する。昨年3月には初の県大会が開かれ、200チーム以上が参加した。
ただ、タッチバレーボールは盛んなのに市内の中学校には男子バレー部がないという。市体育課の石井知彦さんは「タッチバレーをやった小学生の男の子が、中学に入って女子の6人制バレーを始めた。バレーをやるきっかけにもなっている」と喜ぶ。
日本バレーボール協会は1986年から4人制のソフトバレーを生涯スポーツとして普及を図っている。ゴム製ボールを使い、ネット高は2メートル。成年男子の6人制バレーはネット高が2・43メートルと高く、革製ボールで突き指などのおそれもあることから考案された。
ただ、ソフトバレーも競技性が高く、6人制をリタイアした選手がプレーする印象が強い。このため、「もっと手軽なバレーを」と各地で様々な競技が生まれているという。
とはいえ、そんな手軽なバレーボールの競技が、なぜ千葉で次々と生まれたのかは分からない。3競技の関係者も互いの存在をほとんど知らないというから不思議だ。(堤恭太)