優勝を喜ぶ女子バレーボールの日本チーム=トルコ・サムスン
トルコ・サムスンで開かれているデフリンピックは28日、女子バレーボール決勝があり、日本がイタリアを下して金メダルに輝いた。決勝を含む全7試合をストレート勝ち。初出場の高校生3人が躍動した。
アタッカーの平岡早百合選手(18)は、正智深谷高校(埼玉県)のバレー部所属。部でもエースだ。高校では補聴器を付けて仲間の声や笛が聞こえるなかでプレーしているが、デフリンピックでは補聴器を外さなければならない。
昨年末に代表入り。「初めは音のない状態が怖くて、聞こえないのに聞き取ろうと集中しすぎて頭が痛くなった」。音で相手のスパイクの強さを判断していたが、いまは相手の動きや腕の振りに目を凝らす。自宅で補聴器を外し、無音に耳を慣らした。スパイクを打つ時は「私が行きます」と伝えるため、両手を大きく広げてアピールする。
決勝を前に「高校では対戦しないような高さのある相手ばかり。緊張もするけど、バレーが楽しくてしょうがない」。決勝ではスパイクを決め、何度もガッツポーズを見せた。
中田美緒選手(16)と長谷山優美選手(16)は、ともに神奈川県立平塚ろう学校の2年生。中学生で代表に加わった。
チームでは、声でのやりとりに頼らなくていいように、攻撃の形、前後の連携などルールを決めている。
セッターの中田選手は「どこにボールが来ても、サーブレシーブの次は私が必ずボールを受ける」。決勝では右に左に安定したトスを上げた。長谷山選手は「初めはわからなくて悩んだこともあったけど、先輩たちが相談に乗ってくれた」。
前回、日本は決勝で敗れ、銀。今大会は新たに加わった若い力とともに、世界の頂点に立った。狩野美雪監督(40)は「経験は人を成長させる」と3人を頼もしそうに見つめた。(サムスン=斉藤寛子)