日米の企業経営者らを前にあいさつするトランプ米大統領=6日午前9時22分、東京都港区の駐日米大使公邸、遠藤啓生撮影
トランプ米大統領は6日、駐日米国大使公邸で日米の企業経営者らを前に演説し、「日本との貿易は公平でなく、開かれていない」と述べ、対日貿易赤字に不満を示した。赤字改善のため「我々は交渉する必要がある」としたうえで、「両国に公平な貿易協定、貿易コンセプトを考えることができるだろう。迅速で友好的にできる」と改善に意欲を示した。
トランプ氏は演説で「米国は日本との貿易赤字に何年も苦しんできた」と指摘。「年700億ドル(約8兆円)近い巨額の貿易赤字がある。日本から米国に多くの自動車は輸出されているが、米国から日本へは事実上輸出されていない」と述べた。
トランプ氏は「我々には世界で最高の軍需品がある。日本周辺で起きていることを考えると、(米国からの防衛装備品の購入は)正しい」とも話し、ミサイルシステムなどの輸出拡大に意欲を示した。
トランプ氏が離脱を決めた環太平洋経済連携協定(TPP)については、「我々は正しい考えだと思わない。この部屋の一部の人は意見が異なるかもしれないが、最終的には私が正しいと証明されると思う」と語った。
演説では、トランプ氏が米国に投資する日本企業の経営者らに「米国の株価は過去最高水準だ。幸せな人はいるか」などと問いかける場面も。今後も規制緩和や税制改革を進めるとして、さらなる米国への投資を促した。「トヨタ(自動車)やマツダはいるか?」などと個別企業の名前を挙げ、「ありがとうと言いたい」と話した。
トランプ氏は5日、安倍晋三首相との夕食前にも「みんなが嫌がるほど貿易の話をし続ける」と話し、通商問題を重視する姿勢を示した。6日午後の首脳会談では、トランプ氏が日本と二国間の自由貿易協定(FTA)についてどう言及するかが注目される。(石橋亮介、五十嵐大介)