優勝しピッチで喜び合うセ大阪の選手たち=越田省吾撮影
(4日、セ大阪2―0川崎 ルヴァン杯決勝)
試合開始から1分足らず、相手クリアミスを押し込んで、FW杉本が先制点を挙げた。セ大阪はいきなり好機をものにしたが、一転、そこからパス技術にたけた川崎の猛攻を浴びた。
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DF木本は振り返る。「攻められる時間が長くなるのはわかっていた。我慢して勝つ」。得点こそ予想より早く取れたが、戦いのプランを粛々と遂行した。
自陣ゴール前に送られてくる縦パスを早めの圧力でつぶし、川崎のFW小林、MF家長ら攻撃の中心に有利な状況で球を持たせなかった。相手がより前に人数をかけてくると、カウンター要員のFW柿谷1人を残し、全員がゴール前で体を張った。球を追い回し続けたMF清武は「割り切って守備ができた」と振り返る。
そして最後の最後、自陣から前へ大きく蹴り出した球をきっかけにMFソウザが追加点。試合を決めた。
ボール支配率はセ大阪の33%に対して川崎は67%。コーナーキックも2本しか得られず、相手は5本。放ったシュートは6本で川崎11本の約半分だった。スコア以外、数字上で何も勝るものはない。不格好だった。ただ、たくましかった。日本代表も経験した杉本、柿谷、清武、山口らテクニシャンが受けに回った場合、最も足りなかった部分だ。
試合後、「勝ったチームが強いですから。やっと言えた!」と下部組織育ちの杉本の笑顔がはじけた。J昇格から22年で初の栄冠。勝負の厳しさを味わい続け、乗り越えた達成感がそこにあった。(有田憲一)
■川崎、開始早々に失点
川崎にとって、開始早々に喫した失点が最後まで尾を引いた。鬼木監督は「焦りがあったかもしれない」。敵陣深くに攻め込んでも肝心のゴール前ではパスミスなどが目立ち、奪われては逆襲を受けた。慎重になりすぎて攻めが単調になり、自陣ゴール前で守りを固めた相手を最後まで崩せなかった。
川崎は、8年ぶり4回目の進出となったルヴァン杯の決勝でまたも涙をのんだ。自身3度目の準優勝となった中村は「どれだけ(苦い経験を)積んでいかないといけないのかな、というのが正直ある」。
優勝するのに足りないモノは?
そう聞かれた中村は力なく答えた。「正直、分からない。分かっていれば多分、優勝している」