日大三―佼成学園 九回無死一、三塁で同点の左前適時打を放つ日大三の日置
高校野球の秋季東京都大会は5日、神宮球場で決勝があり、日大三が佼成学園を11―5で破り、7年ぶり13度目の優勝を果たした。日大三は10日に開幕する明治神宮大会に出場する。
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もう、準優勝は嫌だ――。そんな思いが日大三の逆転劇を生んだ。
1点を追う九回の攻撃前。ベンチ前で円陣を組んだ選手たちは互いに言い聞かせるように言葉を発した。「あれだけバットを振ってきたんだから、打てないわけがない」
先頭の1番金子が四球、続く木代の犠打が野選を誘うなどして、無死一、三塁となった。ここで打席に入ったのは、主将の日置。夏まで、上級生に交じって主力として出場していた右打者だ。
日置は悔しさを知る。昨秋、今春と早稲田実に決勝でサヨナラ負けした屈辱だ。清宮幸太郎が注目される早実の「引き立て役」のようになってしまった。
ベンチでは小倉監督が「決勝で勝てない監督になってしまったのかな」と少し弱気になっていた。
が、日置は強かった。「絶対自分がかえす」。フルカウントから左前に同点適時打を放つと、打線がようやく目覚めた。続く大塚の右中間適時二塁打で勝ち越し。その後も安打が続き、一挙8得点のビッグイニングとした。
この試合で日置は4安打、日置とともに今夏までのチームから試合に出ていた大塚も4安打を放った。「先輩たちから、秋は絶対勝って甲子園に行ってくれと言われていた。その思いを無駄にはできなかった」と大塚。優勝の感想を問われると、はにかんで言った。
「信じられないくらいうれしいです」(山口史朗)