新たに始まった護岸工事
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け、政府は6日、埋め立て予定海域の南側2カ所で新たな護岸工事を始めた。来秋の知事選前の土砂投入をめざして工事を進める。翁長雄志(おながたけし)知事は「政府はなりふり構わず工事の既成事実を作ろうと躍起になっている」と猛反発している。
着工したのは、米軍キャンプ・シュワブの南岸にある「K1」(完成後の長さ約210メートル)、「N5」(同約270メートル)。9月下旬の工事開始を見込んでいたが、相次ぐ台風接近などで時期がずれ込んでいた。
両護岸の間の海域で7月に希少なサンゴが見つかり、沖縄防衛局は移植するための許可申請を出し、県が審査している。しかし政府は、このまま工事を進めてもサンゴに影響はないと判断し、県の審査結果を待たずに着工に踏み切った。
菅義偉官房長官は6日の会見で「自然環境や住生活環境に十分に配慮して、普天間飛行場の一日も早い返還を実現する」と述べた。
一方、翁長知事は「工事を強行し、はなはだ遺憾。あらゆる手法を適切な時期に行使し、これからも全力で戦う」とのコメントを発表した。
キャンプ・シュワブの北側では4月から「K9」護岸の工事が始まり、長さは100メートルほどになった。政府はこの護岸を桟橋としても利用し、海上からも建設資材の搬入を進める方針。
辺野古問題をめぐっては、県が政府を相手取って工事の差し止めを求める訴訟を起こしており、今月14日には第2回口頭弁論が予定されている。(山下龍一)