ルパート・マードック氏率いる米娯楽・メディア大手の21世紀フォックスが、自社の大半の事業をライバルの米ウォルト・ディズニーに売却する方向で協議していたことが明らかになった。米経済専門テレビCNBCなどが6日、複数の関係者の話として報じた。交渉は過去数週間にわたって行われて合意に至らなかったが、再び協議が始まる可能性があるとしている。
報道によると、フォックスが売却を検討していたのは映画・テレビ番組制作や欧州での放送事業など。「FOXニュース」やスポーツ事業は自社に残し、強みのある分野に特化する狙いだったとされる。
米メディア業界は、アマゾンやグーグル、ネットフリックスなどIT大手による動画配信サービスの急拡大で競争が激しくなっている。ディズニーは、ネットフリックスから自社の映画コンテンツを引き揚げ、独自の動画配信サービスを始めると8月に発表していた。フォックスの映画・テレビ事業を取り込めば、動画サービスをより充実できるメリットがある。(ニューヨーク=江渕崇)