この1年余り、日産は国内生産を急拡大していた
日産自動車の無資格検査問題で、第三者調査の全容がわかった。近年の生産拡大に伴うシフト改編や、団塊世代の退職などで各工場の検査員が不足したのに、有効な手段を講じなかった実態が判明。工場に何人の有資格者がいるのかすら把握しないなど、経営陣の検査に対する意識の薄さが、現場の規範意識を鈍らせた疑いも浮かんだ。
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特集:日産の無資格検査問題
日産は近く、この調査結果などをもとに改善に向けた報告書をまとめ、国土交通省に提出する。
調査によると、無資格者による検査は1980年代から続いていたとの証言がある一方、近年、生産拡大に伴って検査員が不足したことが、無資格検査の原因・背景になっているとの証言が多かった。
国内向け生産が多い追浜(おっぱま)工場(神奈川県横須賀市)には2016年秋、国内生産拡大を目指す社の方針のもと、主力車種「ノート」の生産が移管された。昼だけだった生産体制が昼夜の2交代制になり、検査員が不足した。工場にとっては活気を取り戻す好機で、人員不足を理由に移管を断れない状況だったという。
その後無資格の従業員を検査に従事させることが増え、有資格者しか押せないはずの検査印は「予備印」を購入するなどして、無資格者に貸し出していた。
日産車体湘南工場(同県平塚市)でも、今年9月の2交代制導入が人手不足の原因とする証言が多く、「『コストがかかるから人を減らせ』と会社は言う。それで無理をしてしまった」と話す従業員もいた。
ほかの工場では、団塊世代の退…