自民党憲法改正推進本部の会合であいさつする細田博之本部長。奥右から2人目は保岡興治前本部長=16日午後2時3分、東京・永田町、越田省吾撮影
自民党の憲法改正推進本部(細田博之本部長)は16日、衆院選後初となる全体会合を開き、憲法論議を再始動した。自民党は早ければ年内に党改憲原案をまとめ、来年の通常国会での発議をめざす。しかし与党・公明党の根強い慎重論など、実現には高いハードルが待ち受ける。
全体会合は9月20日以来、約2カ月ぶり。この日は憲法への自衛隊明記や緊急事態条項の創設を含む「改憲4項目」のうち、参院選で県境をまたぐ「合区」の解消を議論。憲法47条と92条の改正を目指す方針を確認した。
推進本部執行部の提案は、国政選挙に関する47条に、各都道府県から改選ごとに1人以上選出できる、との趣旨を盛り込み、地方自治体の組織・運営に関する92条も改めるというもの。都道府県を選挙区の基礎単位とする内容で、異論は出なかったという。たびたび区割りが変わることに不満が根強い衆院選への適用を検討すべきだとの声も出た。
合区は「一票の格差」是正のため、2016年の参院選で鳥取・島根、徳島・高知で導入。19年夏の参院選までに選挙制度の「抜本的な見直し」をすることが法律上定められているが、自民党は改憲で対応することをめざす。そのため、全体会合でも19年までの改正を求める声が相次いだ。
ただ、合区解消のための改憲には、連立与党の公明党のほか野党各党も否定的で、発議できる見通しは立っていない。
自民党は11月28日の全体会合で教育無償化を議論する予定。その後、年内にもう1度全体会合を開き、党の改憲原案の取りまとめ作業を進める見通しだ。(二階堂勇)