もと・ひでのり 1963年生まれ。94年、名古屋大学法学部助教授、2004年から現職。近編著に「グローバル化時代における民主主義の変容と憲法学」など
今回の衆院選で、自民党は公約の重点項目に自衛隊を明記する憲法改正を初めて盛り込んだ。希望の党と日本維新の会も公約では9条を含めた改正議論には前向きな姿勢をとる。選挙結果次第で改憲議論が進む可能性もあるが、憲法に「自衛隊」を書き加えると何が変わるのか――。憲法学者の本秀紀・名古屋大学大学院教授に意見を聞いた。
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――自衛隊は合憲と判断されてきて、いまさら書いたところで何も変わらないじゃないかという意見がありますが。
たぶん、改憲しようとする側はそう言いますよね。憲法学者が悪者にされて、「多くの憲法学者が自衛隊は憲法違反だと言っている。だから、こんなに国民から支持されている自衛隊が肩身の狭い思いをするのはいけないから変えましょう」と。その一方で、「今でも合憲と見られているから」というわけですが、論理的に矛盾しています。
もしも現在、自衛隊が合憲であるなら憲法の条文を変える必要はない。戦力の不保持を定めた9条2項があろうがなかろうが、自衛隊は合憲なのですから。
――安倍晋三首相は憲法9条の1項と2項を残したまま、自衛隊を明記する提案をしています。
「明記するだけだから、変わりませんよ」と言っても、条文が変わると、その結果、異なった解釈の余地が出てきます。
自衛隊が認められる根拠は「自…