合区が初めて導入され、一票の格差が最大3・08倍になった昨夏の参院選が合憲かどうか、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は27日の判決で憲法判断を示す。自民党は都道府県単位の代表を念頭に、次期衆院選で合区解消を含む改憲を公約に盛り込む方針だが、法の下の平等を定めた憲法14条などとの整合性が問われる。こうした中、現行制度に対する最高裁の見解が注目される。
最高裁は2010年と13年実施の参院選について「投票の価値が著しく不平等な状態にある」として、連続して「違憲状態」との判断を示した。国会は15年に鳥取と島根、徳島と高知を合区とし、「10増10減」の定数是正を行うとともに「19年参院選に向けた抜本的見直し」を盛り込む改正公職選挙法を成立させた。
同法下で実施された昨年7月の参院選は、議員定数1人あたりの有権者数が最多の埼玉選挙区と最少の福井選挙区で「一票の格差」(最大格差)が3・08倍になり、13年の4・77倍から縮小した。二つの弁護士グループが投票の価値が平等でないとして選挙無効を求めた訴訟では、全国の高裁・支部が出した16件の判決のうち、「合憲」が6件、「違憲状態」10件だった。今回、これらについて最高裁が統一判断を示す。
一方、自民党には地方や参院議員を中心に合区解消を求める声が強い。憲法47条に「都道府県の区域から少なくとも1人を選出」との趣旨を盛り込む議論も出ており、次期衆院選の公約に記す可能性もある。だが、一票の格差が再び拡大する懸念もあり、憲法14条が定めた「法の下の平等」や、国会議員を全国民の代表とする43条との整合性を巡り疑問の声があがっている。(岡本玄)