大相撲の横綱日馬富士(33)が幕内貴ノ岩(27)に暴行を加えた問題で、日本相撲協会の危機管理委員会(委員長=高野利雄・元名古屋高検検事長)が要請している貴ノ岩への聴取について、師匠の貴乃花親方(元横綱)が「警察の捜査が優先」として拒否していることが21日わかった。
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関係者によると、協会側は当初から日馬富士とともに当事者である貴ノ岩の証言が全容の早期解明につながると判断。被害届を受け付けた際に、貴ノ岩本人の事情聴取を鳥取県警が済ませたことを確認し、19日の日馬富士に続いて事情を聴く予定だったという。
しかし、貴乃花親方からは協会側が捜査に全面協力する意向を示していることから、「自分もそれに従う」との趣旨で、貴ノ岩の聴取には応じられない、との返事がきたという。
現在は鳥取県警が再聴取の意向も見せているが、協会側に貴乃花親方の返事がきた直後に県警に再確認した時点で「捜査への支障はない」との反応だったという。貴ノ岩は問題発覚後、一切姿を見せておらず、協会側も所在を確認していない。
20日の協会評議員会でも池坊保子議長(元文部科学副大臣)は、危機管理委員会の聴取が全体的に遅れ気味であることを問題視し、貴ノ岩に証言を促している。中堅の親方は「当事者がまず話をしないと、事実解明への道は進まない。この状態がいつまで続くのか。角界の力士、関係者に多大な影響が出ている」と話している。
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日馬富士は21日夜、東京から飛行機で福岡に戻った。17日に鳥取県警、19日には危機管理委員会から事情聴取を受けていた。