イオングループのコンビニ「ミニストップ」は21日、18歳未満への販売が禁止されている成人向け雑誌を、来年1月から全国すべての約2200店で販売中止にすると発表した。女性や家族連れからの苦情に対応する。イオンはミニストップを含むグループの計約7千店すべてで、来年1月から成人誌の取り扱いをやめる方針も明らかにした。
イオンはミニストップのほか、総合スーパーや食品スーパー、ドラッグストア、ショッピングモールなどにある「未来屋書店」などを持つ。これらの店で販売を中止し、モールなどにテナントで入る他社の書店での取り扱いは「今後検討する」(広報)という。
ミニストップが販売中止を発表したのは、「成人誌」や「類似する雑誌類」。「子どもに見えてしまう」などの声が寄せられ、5月ごろから中止を検討していた。雑誌の売り上げに占める成人誌の割合は5%程度という。コンビニ業界に成人誌を不透明なフィルムで覆うことを求めていた千葉市では、今年12月から先行して中止する。販売中止で女性や家族連れが訪れやすい店を目指す。
コンビニ業界では、雑誌コーナーで成人誌と他の雑誌を分けるなどしているが、一定の売り上げが見込めるため販売自体をやめるケースはまだ少ない。大手コンビニ関係者によると、成人誌は比較的高齢の客が買うことが多いという。
ローソンは「雑誌のなかでも単価が高く、店の売り上げに貢献しているところが多い」(広報)といい、販売するかは加盟店オーナーに任せている。全国約1万3千店のうち、販売していないのは約2500店。
セブン―イレブンは全国約1万9900店舗のうち約2500店で販売していない。本部や各店の判断で学校の近くや病院内の店などには置いていない。
ファミリーマートは堺市内の店で同市と協力し、成人誌の表紙中央を不透明のフィルムで覆っている。成人誌は全国の一部店舗では販売していない。販売中止は「社会的な動向をみて慎重に検討する」(広報)という。
ミニストップの販売中止について、雑誌出版社87社が加盟する「日本雑誌協会」は21日、「どんな内容の雑誌が対象になるのかが不明確であることを危惧する」との談話を出した。ミニストップは成人誌と「類似する雑誌類」の販売も中止するとしており、どのような雑誌が含まれるのか、基準の明確化が議論となる可能性がある。(高橋克典)