リオデジャネイロ・パラリンピックで金メダルを取って雄たけびをあげるベアトリーチェ・ヴィオ=ロイター
2020年東京パラリンピックの開幕まで、29日でちょうどあと1000日。両手、両足のない女性剣士が、「TOKYO」の舞台を楽しみにしている。車いすフェンシングのベアトリーチェ・ヴィオ(イタリア)。愛称は「ベベ」。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックで金メダルを獲得した20歳だ。29日には東京で、フェンシングのロンドン五輪銀メダリストの太田雄貴さんと「対戦」する。
「東京大会までの1000日は長く思えるけど、実はそうでもない」とベベは言う。
「リオの時、私は自分の中で500日前からカウントダウンを始めた。最初は、すごく先が長いと思っていたが、時が過ぎ、大会が近づくと、リオまでに準備が整うか不安になった」
そのリオでは、女子フルーレ個人カテゴリーB(腹筋の機能がなく、自力で体勢が維持できない選手)で金メダルに輝いた。「私の人生で最高の2週間を過ごすことができた」
ベベは、幼少からフェンシングをしていたが、髄膜炎を患い、その影響で両手、両足を切断した。それでも、フェンシングをあきらめなかった。義手で剣をあやつり、車いすフェンシングをはじめた。
そんなベベは言う。
「東京に向けては、前回よりも早くカウントダウンを始める。なぜなら、今回は一つではなく、二つのゴールがあるから」
もう一つとは、リオでは銅メダルだった団体で、金メダルを取ることだ。
「ぜひ東京では、(リオを上回る)人生で最高の2週間を味わいたい」
そして、こう期待する。「2020年東京パラリンピックは私たち選手、そして大会に関わる人々にとって、素晴らしい体験になることでしょう」
ベベは29日午後4時半から、東京ソラマチ4階「スカイアリーナ」(東京都墨田区)にできるNTTドコモブースで、日本フェンシング協会会長でもある太田さんとトークショーを行う。午後7時からは、別会場で太田さんと車いすフェンシングで対決、その様子を同じブースで見ることができる。