世界銀行CEOのクリスタリナ・ゲオルギエバ氏=相場郁朗撮影
世界銀行CEO クリスタリナ・ゲオルギエバさん(64)
性による差別をなくす「ジェンダー平等」を、貧困撲滅のための重要施策の一つに据える。先月、都内であった国際女性会議に出席し、「女性に力を与えることで経済が豊かになる」と訴えた。
特集:Dear Girls
各国で人道援助や防災に携わってきた。ニジェールの干ばつ地域では村の女性だけに毎月少額の現金を給付し、女性たちが農作物の種や農耕具を購入して家族を飢餓から救った。村の男性は「自分がお金をもらったら、自転車を買っていた」と話したという。「男女でお金の使い方が異なる。特に脆弱(ぜいじゃく)な状況で女性はたくましい」
ブルガリア出身。母国の国立大准教授を経て、39歳で世銀へ。最高経営責任者(CEO)となった世銀でも当時、管理職は男性ばかり。だが今は男女比半々に迫る。欧州委員会の副委員長の時には、女性の人脈づくりや研修の機会を増やし、在任中の2年間で女性管理職比率を10%以上引き上げた。
来日は10回を超す。東日本大震災の被災地は3度訪れた。避難所で住民らが90歳の独居女性を家族のように世話する光景を見て、「人々の連帯に感動した」。
来日のたび、7歳の孫娘にハローキティのお土産を買って帰る。紛争が絶えず、憎悪が増幅して見えるが「大部分の人は善良で信頼に足ると、子どもたちが感じとれる世界をつくるのが我々の義務」。世界中の現場を歩いた実感だ。(村井七緒子)