受信料の支払いは義務かどうか、初めて判断を示した最高裁=東京都千代田区
NHKが受信契約を結ばない男性に支払いを求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、テレビがあればNHKと契約を結ぶ義務があるとした放送法の規定は「合憲」とする初めての判断を示した。事実上、受信料の支払いを義務づける内容だ。男性は受信契約を定めた放送法の規定は「契約の自由」を保障する憲法に違反すると主張したが、最高裁は男性の上告を退けた。
特集:NHKの受信料
判決は、NHKからの一方的な申し込みでは契約や支払い義務が生じず、双方の合意が必要としたが、NHKが受信料を巡る裁判を起こして勝訴すれば、契約は成立する、と指摘した。
争われたのは、2006年3月、自宅にテレビを設置した男性のケース。NHKは11年9月、受信契約を申し込んだが「放送が偏っている」などの理由で拒まれ、同年11月に提訴した。
1950年制定の放送法の規定は「受信設備を設置したらNHKと契約しなければならない」と定める。この解釈について、男性側は「強制力のない努力規定。受信契約が強制されるなら契約の自由に対する重大な侵害だ」として違憲だと主張。NHKは「義務規定。公共放送の意義を踏まえれば必要性や合理性がある」として合憲と訴えた。
また、受信契約の成立時期について、NHKは、契約を申し込んだ時点で自動的に成立するとし、テレビ設置時にさかのぼって受信料を支払うべきだと主張。一方、男性側は、NHKが未契約者に対して裁判を起こし、契約の受け入れを命じる判決が確定した時点で契約が成立し、それ以降の支払い義務しかないと反論していた。
一、二審判決は、放送法の規定は合憲で、契約義務を課していると判断。契約の受け入れを命じる判決が確定した時点で契約が成立し、テレビ設置時にさかのぼって受信料を支払う必要があると結論づけた。この裁判では、国民生活に与える影響が大きいとして、金田勝年法相(当時)も4月、規定は合憲とする意見書を最高裁に提出していた。(岡本玄)