時折、笑顔を見せながら会見で話す羽生善治竜王=13日午前10時9分、東京都千代田区、時津剛撮影
将棋の羽生善治竜王(47)は13日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、政府が国民栄誉賞の授与を検討していることに対し、「(報道で知り)驚いた。個人にとっても将棋界にとっても名誉なこと。自分なりに変わらず、一生懸命やっていきたい」と話した。
特集:「永世七冠」羽生善治 前人未到の偉業刻む
羽生善治氏・井山裕太氏に国民栄誉賞を検討 棋士は初
羽生竜王は5日、渡辺明棋王(33)を破って竜王のタイトルを奪取。「永世竜王」の資格を獲得し、七つのタイトルで永世称号を得る「永世七冠」を達成した。会見は、史上初の偉業達成を受けて開かれた。
国民栄誉賞に関する政府からの連絡は「特にありません」とし、「(その報道を)聞いた時は驚き、大変名誉なことだと思った。今まで受賞された方は各界で大変な活躍をした方ばかり。そういう意味でも驚いた」と語った。同時に授賞が検討されている囲碁の井山裕太名人(28)については「全冠制覇を2回されて、記録を塗り替え続けている。隣の世界ですけど、非常に素晴らしい棋士だと思っている」とたたえた。
羽生竜王は2008年と10年、永世竜王をかけて渡辺棋王と戦ったが、いずれも敗れた。今年の竜王戦は7年ぶりの挑戦だった。「竜王戦は若い棋士が勝ち上がる棋戦。今回は最後のチャンスという気持ちで臨もうと考えていた」
前人未到の記録を達成する一方で、今年は20代の若手2人にタイトルを相次いで奪われた。「20代の強い棋士がたくさんいて、自分が知らなかった戦術を編み出しているので苦労している。過去の定跡にとらわれず、最先端の形を知っておくのが大事だと考えている」と話した。
今後の目標を問われると「通算1400勝が近づいているので、それを目指したい」。タイトルの獲得は通算99期に達しており、来年は大台の「100期」という新記録達成もかかる年となる。(村瀬信也)