11月30日の理事会に出席した貴乃花親方=東京・国技館
大相撲の元横綱日馬富士が幕内貴ノ岩へけがを負わせたとして傷害容疑で書類送検された事件で、貴ノ岩の師匠である貴乃花親方(元横綱)が12日、鳥取地検による処分が確定するまで調査に協力できないとする意向を文書で日本相撲協会に伝えたことが分かった。協会は貴乃花親方から、書類送検後なら協力すると約束を取り付けていたが、ほごにされた形だ。
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11月30日の理事会では、調査への協力を求める危機管理委員会(委員長=高野利雄・元名古屋高検検事長)と拒否する貴乃花親方の間で激しいやりとりがあったとされる。ただ最終的に「警察の捜査が終わった段階」で聴取に応じることで合意していた。そのため協会は日馬富士が書類送検された11日、貴ノ岩の聞き取りを13日に行うとする文書を貴乃花部屋(東京都江東区)に投函(とうかん)した。
危機管理委は、このまま貴ノ岩の証言が得られなくても20日に開かれる臨時の横綱審議委員会と理事会に調査結果と再発防止策を報告する方針。鳥取地検の処分が出た後に貴ノ岩側が協力する姿勢に転じた場合は、聞き取りを行う。
20日の理事会では調査報告に基づいて関係者への処分も検討される見込みだ。八角理事長(元横綱北勝海)や日馬富士の師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に加え、今後は協会理事で巡業部長でもある貴乃花親方も対象となる可能性もある。弟子の貴ノ岩を聴取に応じさせないだけでなく、鳥取県警に被害届を提出した後も協会に報告しなかったことが問題視されている。