新設される獣医学部の推薦入試で、試験問題の配布を待つ受験生たち=16日午前9時46分、東京都港区、恵原弘太郎撮影
学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が愛媛県今治市に来春開設する岡山理科大獣医学部の推薦入試が16日、東京都港区や松山市、岡山市など全国7会場であった。他校と重複受験できる併願制の「推薦入試C」で、16、17日にそれぞれ別の出題で試験がある。受験生は両日とも出願でき、学園によると獣医学科には募集人員21人に両日で延べ688人が出願。倍率は32・8倍としている。
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東京都港区の会場では約100人が受験。試験を終えた山梨県の女子高校生(18)は「獣医学部が新しくできるのは良いことだと思う。でもテレビで色々ともめているのを見て、ちゃんとした教育が受けられるかなと不安もあります」。ほかにも、国立や私立の複数の大学を受けるという。埼玉県の女子高校生(18)は「1期生は不安もあると思うけど、大学を引っ張っていければ」と話した。
松山市の会場では14人が受験。沖縄から来たという男子高校生(17)は「学部が感染症をメインに研究し、海外からも生徒が来ると聞いて興味を持った」。岡山市の岡山理科大学では26人が受験。兵庫県姫路市の19歳の男性は「小さい頃から動物好きで獣医になりたかった。何校か受けたが、(岡山理科大獣医学部は)近いからいいかなと思っている。まずまずの手応えです」と話した。
獣医専門予備校「ジュイク」(大津市)の広報担当者は「他大学と併願できるので出願者が多かったのだろう。驚くような倍率ではない」としたうえで、「獣医師の志願者は浪人生が多い。学部の新設は大きなチャンスなので人気を集めた」と分析する。
「推薦入試C」の合格発表は25日。専願制の推薦入試は9日に実施されたが、倍率などは公表されていない。一般入試は、来年2月1日から順次行われる。
岡山理科大獣医学部は国家戦略特区で学部新設が認められ、11月に52年ぶりの新設が文部科学相に正式認可された。行政手続きへの首相官邸の関与などの疑惑が指摘されている。(直井政夫、根岸拓朗、堀江麻友)